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2010年05月12日 【セミナー・シンポジウム・講座】

EU共同大学院プレセミナー ヴィルヘルム・ブラウネーダー氏(ウィーン大学法学部教授)連続講演会開催報告

   このたび、オーストリア共和国ウィーン大学からヴィルヘルム・ブラウネーダー教授を招き、一橋大学・慶應義塾大学戦略的大学連携支援事業「EU共同大学院プレセミナー」として2010年4月2日・9日に連続講演会を開催した。

   EU域内の法的統合を考える際にまず立ちはだかるのが、判例法を基礎とするコモンローと成文法を基礎とする大陸法という法システムの二項対立である。その際、この二項対立は歴史的かつ根源的なものとされ、その克服や架橋はしばしば困難視されてきた。しかし、近代以前の歴史に眼を向けるとき、この二項対立は、現代の常識に反して、せいぜい相対的なものにすぎないことが分かる。それどころか、ひとたび現在から逆照射された通念を排してみれば、そもそもそのような二項対立が歴史的に存在したことすら疑わしく思われるだろう。
   他方、大陸諸国でもローマ法は全ての法分野で継受された訳ではなく、また受容されても地域の判例法や慣習法と融合したので、ローマ法をもって大陸の法的統合を可能とするのは短絡的である。さらに近代法典編纂によって、このような地域的偏差は国家単位で固定され、むしろ拡大された。このような歴史的経験に照らしてみれば、コモンローと大陸法という二項対立に捉われることない視点から過去に学び、EUの法的統合を計ることの重要性が明らかになるだろう。

   2日の第1回講演「ヨーロッパの法的統一 ― コモンローと大陸法」では判例法と慣習法をメルクマールとするヨーロッパの法的一体性に新たな光が当てられ、9日の第2回講演「ヨーロッパ私法典としてのオーストリア一般民法典(ABGB)」では来年で施行二百周年を迎えるオーストリア一般民法典の生命力を手がかりに、成文法システムを持つことの意味が考察された。いずれの講演においても豊富な学識に裏打ちされた鋭い分析の視角が提示され、EU域内の法的統合が百年単位で考察すべき困難な課題であることを指摘しつつも、近代以前の共通の法的伝統への確信をよりどころとして地道な歩みを重ねるべきことが提唱され、格調高く感銘深い講演会であった。


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